破折歯接着治療

破折歯接着治療について

破折歯の治療

破折歯の治療

実は歯の見えている部分が割れたり、折れたりしている場合は、そう難しい治療ではありません。患者様が見てわかる部分の割れや亀裂は、削ったり被せ物をするなどの方法で、どの歯科医院でも治療できます。

問題は歯の見えていない部分が割れたり、亀裂が入った場合です。
割れ目が歯ぐきの縁から中に入ってしまうと、「体の中に埋まっている」からという理由で接着剤を使って歯を装着することが難しくなります。

歯の中心にはパイプ状の管があり、中に歯髄という、いわゆる神経が入っています。時にこの構造のために、竹が縦に割れるように歯も割れることがあります。
歯ぐきに隠れている、歯根と呼ばれる部分が割れたり亀裂が入ったりすると、これまでの歯科医療では治せないということになります。

歯肉に隠れた部分が割れたり、ひびが入った歯の治療法を「破断歯接着修復法」と言い、一般的な歯科治療とは異なるものなのです。

破断歯接着・修復法とは

破断歯接着・修復法とは

簡単に言えば、破断面を接着剤で貼り合わせるという方法です。

破断した歯の治療は2種類あります。
破断した歯を抜かずに接着する「口腔内接着法」と、破断した歯を一度抜いて行う「口腔外接着法」です。

口腔内接着法

歯の割れ目が小さい場合は、抜かずにそのまま割れ目を修復します。
歯の内部を顕微鏡で覗き込み、破断面を洗浄します。その上で破断面に接着剤を流し込んで繋ぎます。

口腔外接着法

歯の割れ目が大きい場合や、歯が完全に真っ二つに割れている場合などです。
破断した歯を一度抜きます。顕微鏡で破断面を見ながら接着剤で修復し貼り合わせます。その上で接着した歯を、元の位置に戻します。

歯には歯根膜という組織があり、この歯根膜が歯と顎を結び付けています。非常に再生能力が高い組織で、一度ちぎれてしまってもくっつけると元通りになる性質があります。
この性質を利用して、抜いた歯を元の位置に戻し、歯をギプスで固定します。
ギプスは歯の矯正器具に似たもので、隣の歯と連結させて固定する仕組みになっています。このギプスで2ヶ月ほど固定することで、歯は元通りの位置につきます。
一度抜いて戻しているので、抜いた当日はギプスで固定しないとぐらぐらしています。
一週間ほどで抜け落ちることはなくなり、1ヶ月もすると食べ物を噛むこともできるようになります。

こうしたやりかたで破折した歯を残す治療法が、破折歯接着・修復法なのです。

破断歯接着・修復法の現在

破折歯接着・修復法は自由診療で保険診療ではありません。
この治療法がどこの街の歯科医院でも受けられるわけではありません。

現在の歯科医業界では「割れた歯は治らない」という常識が蔓延していて、治療ができるということが受け入れられず、治療法も普及していません。
「歯根が割れてしまったら歯そのものを助けることはできない。従って抜歯するしかない」という考え方に歯科医師が従っているためです。

インターネットで検索すると、眞坂先生から学んだ歯科医師による「折れた歯を治します」という表記を見かけることもありますが、必ずしも患者様の住んでいる地域、患者様の近隣の歯科医院で治療を受けられるとは限りません。

この先10年や20年で状況は大きく変わらないかもしれません。
しかし「割れた歯、折れた歯は治る」ということを患者様側にも広めていくことで、いつか状況が変わることを願って止みません。