破折歯

破折歯とは

破折歯とは

破折歯とは簡単に言うと割れた歯、折れた歯、ひび割れた歯のことを指します。

歯が割れるケースは大きく二種類、外傷によるものと、経年劣化で歯に亀裂が入ってしまい、日常生活の噛む衝撃などで割れてしまう場合があります。
どちらの理由にせよ、衝撃で割れたり、亀裂が入った歯のことを破折歯と呼びます。

破折歯の症状

歯が割れたり、ひび割れが入ってしまうとさまざまな症状が現れます。

  • 歯が痛む
  • 歯ぐきが痛む
  • 歯ぐきが腫れる
  • 食べ物を噛むと痛い
  • 歯がぐらぐらする

こういった症状が現れた場合、歯周病と診断されてしまう事が多くあります。
また、割れた歯はいつまでも痛みが取れないといった症状が出るため難治性のむし歯と診断されることもあります。

しかし実際には、抜いた歯を顕微鏡で見ると割れているかひびが入っているケースがとても多いのです。
歯のひび割れから入ったばい菌が歯の根で繁殖し、歯周病に似た症状や歯の痛みを作り出しているわけです。また、むし歯による根管の治療中の場合、いくら歯の根を消毒してもひび割れからばい菌が流入するため、治療の効果がでにくくなってしまいます。

歯が割れる原因

一番多い原因は、歯の神経を抜いてしまうからです。

歯の中心にある歯髄には血液が流れています。むし歯の治療などで歯の神経を抜く場合、歯の真ん中の歯髄と呼ばれる部分をくり抜いて消毒薬を詰め込みます。すると神経だけでなく血液が流れなくなってしまうのです。
例えば生きている木は割れることは少ないです。しかし伐採されて木材になると割れやすくなります。同じように歯も神経を抜いて、つまり血流がなくなって10年、20年と経過すると、乾いて柔軟性が失われ、歯がひび割れやすくなるのです。

原因のもう一つは歯の構造にあります。中心に歯髄をおさめる穴が開いているという構造のため、何かの衝撃で竹のように割れてしまう危険性があります。

破折歯を放置するリスク

破折歯を放置するリスク

割れた歯を放っておくと危険です。

神経のある歯が割れれば、むし歯の痛みと同じようなズキズキとした痛みを感じます。
神経を抜いた歯が割れた場合は破断面から歯の根にまでばい菌が入り込み、歯ぐきの腫れや痛みを感じます。

これを放置しておくと、歯を噛み合わせた時に痛みや違和感を感じたり、歯の根の治療をしているのに良くならず痛みが取れなかったり、顎の痛みや頭痛にまで発展します。

破折歯は抜くしかない?

破折歯は抜くしかない?

統計データでは、歯を抜くことになる原因の1位は歯周病です。2位がむし歯、3位が破折によるものとなっています。
しかし、実は歯周病やむし歯として診断されている歯の中には破折歯が含まれていることが多いのです。細かなひび割れは顕微鏡で見なければわかりませんし、破断面から入ったばい菌で起こる痛みや歯ぐきの不具合を歯周病と診断している先生も多いからです。

現状では歯科医師の多くは破折した歯は抜くしかないと思い込んでいます。
したがって患者様にも割れた歯は抜歯する事ことをお勧めします。
ひび割れた破断面から入ったばい菌が腫れや痛みを引き起こしているので、ばい菌と一緒に割れた歯を抜いてしまわなければ治らないと信じられているのです。
歯科医師の誰もが、患者様の歯をできるだけ残したいと考えています。抜きたくて抜くわけではないのです。

患者様にとっては「歯を抜く」という言葉は衝撃的です。
歯や歯ぐきがとても痛くて腫れていて、患者様ご自身も「この歯はダメなんだろうな」という思いがあれば、歯科医師から抜歯が必要だと言われたときに納得しやすいでしょう。

しかし見ためではそれほどひどい状態ではない歯が抜歯宣告を受けた場合は困ったことが起こります。治るだろうと思っていた患者様と、歯科医師の認識の間にずれ、ミスマッチが起こるのです。

そのため、歯科医師の説明が不十分な場合に患者様は「何ともない歯を抜かれた」というネガティブな印象を持ってしまうのです。
患者様へのしっかりしたご説明や、患者様の気持ちに寄り添った治療への努力があれば、結果的に抜いた場合でも「歯医者さんで歯を抜いてもらった」と言う感想になるのではないでしょうか。

そして、抜歯したくないというご希望であれば、「破折歯接着修復法」についてご説明をいたします。