統計データでは、歯を抜くことになる原因の1位は歯周病です。2位がむし歯、3位が破折によるものとなっています。
しかし、実は歯周病やむし歯として診断されている歯の中には破折歯が含まれていることが多いのです。細かなひび割れは顕微鏡で見なければわかりませんし、破断面から入ったばい菌で起こる痛みや歯ぐきの不具合を歯周病と診断している先生も多いからです。
現状では歯科医師の多くは破折した歯は抜くしかないと思い込んでいます。
したがって患者様にも割れた歯は抜歯する事ことをお勧めします。
ひび割れた破断面から入ったばい菌が腫れや痛みを引き起こしているので、ばい菌と一緒に割れた歯を抜いてしまわなければ治らないと信じられているのです。
歯科医師の誰もが、患者様の歯をできるだけ残したいと考えています。抜きたくて抜くわけではないのです。
患者様にとっては「歯を抜く」という言葉は衝撃的です。
歯や歯ぐきがとても痛くて腫れていて、患者様ご自身も「この歯はダメなんだろうな」という思いがあれば、歯科医師から抜歯が必要だと言われたときに納得しやすいでしょう。
しかし見ためではそれほどひどい状態ではない歯が抜歯宣告を受けた場合は困ったことが起こります。治るだろうと思っていた患者様と、歯科医師の認識の間にずれ、ミスマッチが起こるのです。
そのため、歯科医師の説明が不十分な場合に患者様は「何ともない歯を抜かれた」というネガティブな印象を持ってしまうのです。
患者様へのしっかりしたご説明や、患者様の気持ちに寄り添った治療への努力があれば、結果的に抜いた場合でも「歯医者さんで歯を抜いてもらった」と言う感想になるのではないでしょうか。
そして、抜歯したくないというご希望であれば、「破折歯接着修復法」についてご説明をいたします。